良いたまごの選び方は?
以前は、殻がザラザラしている卵は新しく、つるつるしてつやのあるものは古い、といわれていました。しかし、現在市販されている大部分の卵は、洗卵してから出荷されるので、この見分け方もあまりあてにできなくなりました。 しかし、殻の外側から、新しい卵かどうか判断することはできます。卵全体のキメがこまかく、なめらかで光沢があり、白くて(白玉のとき)表面が汚れていないものを選べばいいのです。 中身については、割ったときに卵黄がこんもり盛り上がり、濃厚卵白がたっぷりあるものが新鮮な卵です。濃厚卵白は、厚みがあって、白濁していること、また、割ったときに殻から離れにくいのが新鮮な証拠です。 (新鮮なたまごの卵白は、炭酸ガスが含まれているため、少し白く濁ったように見えます)
たまごの上手な保存方法は?
買い物から帰ったらすぐに冷蔵庫に保存しましょう。冷蔵庫では卵のとがった方を下に丸い方を上にします。これは丸い方よりもとがった方が強度がある為割れにくいということ、丸い方には空気の入った気室という部屋があるので、卵が古くなり卵黄が浮かんできた時に直接殻に触れるのを防いでくれる為です。殻にひびが入った卵は傷みやすい為、すぐに使いましょう。割り置きした卵は菌が繁殖しやすいので割った卵は使いきりましょう。
殻を割らずに鮮度を見分ける方法は?
殻を割らないで生たまごのままのたまごを10%の食塩水(水900ccに塩100gを溶かす)に入れます。底にしずむのは新しいたまごで、立ったり浮いたりするのは古いたまごです。このようになるのは、たまごは古くなるほど卵白に含まれている水分や炭酸ガスが殻の空気穴(「気孔」と呼ばれ、たまご1個に7,000~1万7,000あります)から抜けていき、その分、鈍端部(たまごの丸い方)にある「気室」が大きくなっていくからです。気室の中の空気量により、たまごのしずみ方が異なるのです。
血の入ったたまごは食べても大丈夫なの?
卵黄の表面に血液(血斑)が付着している状態の卵を血卵(血斑卵)といいますが、これには大きく2通りの原因があります。 1つ目は、たまごが形成されるときに親鳥の血が混入する場合で、2つ目は、胚(はい)が成長して血管が形成される場合です。通常、スーパーなどで売られているたまごは無精卵ですから、この場合は1つ目の方が該当します。また、有精卵の場合は、保存状況(保存温度)にもよりますが2つ目の方の原因も考えられます。 たまごが形成されるときに親鳥の血が混入する原因については、鶏に何らかのストレス(大きな音などの驚くようなこと)が一時的に加わった場合に、卵巣あるいは輸卵管の毛細血管が破壊され、そこから流出した血液が卵黄膜に付着したりするものです。 食用に供しても何ら問題ありませんが、消費者が嫌うため商品価値は下がります。
生たまごとゆでたまごは、どちらが日持ちするの?
たまごは、生の方が断然に長持ちします。 通常、売られているゆでたまご(味付けたまごを含め)は、賞味期限が5日から1週間程度までに設定されています。それと比べて、生たまごの賞味期限は、最低でも2週間になっています。 このように、生たまごの方が長持ちするのは、たまごが生きているからです。卵殻(カラ)には、気孔(きこう)と呼ばれる小さな穴が7,000~17,000個もあります。この気孔で胚(卵黄の表面にある1~2mm程度の白い小さな丸い部分)の呼吸に必要な酸素を取り入れ、内部で発生した炭酸ガスを排泄する「ガス交換」を行っているのです。
黄身の色を人工的に変えることはできるの?
卵黄は本来は、薄い黄色をしていますが、色が濃い方が消費者に人気があるため、飼料によって色を濃くしている生産者が多いようです。 黄色を濃くするものとしては、「アルファルファ」と呼ばれるマメ科の牧草が、また、赤色を濃くするため(オレンジ色に近くなる)には、「パプリカ」などがよく使われています。 例えば、「緑色に近い色にもできるか」というと、それも可能なのです。脂溶性(油に溶ける性質)の色素をニワトリに与えると、それが卵黄に移行して着色されます。したがって、どんな色にでもできるのです。 その色素をエサに混ぜて給餌しはじめてから卵黄の色が完全に変わるには約10日かかります。しかし、実際には食用として「食品添加物」の規制を受けますし、売れなければ意味がないので、黄色もしくは橙色に限られているのが現状です。
白身が濁っているたまごがあるのはどうして?
生たまごの卵白がうすく白い色に濁っているたまごがありますが、これは新鮮な産みたてたまごである証拠です。 新鮮なたまごの卵白には「炭酸ガス」が多く含まれているため、白く濁って見えるのです。この炭酸ガスは、時間の経過とともに次第に殻の表面にある気孔と呼ばれる小さな穴から抜けていきます。 この「炭酸ガス」は、たまごの鮮度を保つのに有効で、たまごを倉庫などで保管するとき、炭酸ガスを満たしておくと品質が保持できるため、流通過程でそのような保管方法をとっているところもあります。 . また、生たまごの卵白が濃いめの黄色を帯びた色をしていることがあります。通常でも卵白は薄い黄色味を帯びていますが、これは卵白に含まれているリボフラビン(ビタミンB2)の色によるものです。リボフラビンは哺乳類や鳥類において必要なビタミンなので、鶏のエサ(飼料)にも含まれています。 このため、飼料中のリボフラビン量や鶏の飼料摂取量によって卵白の色が影響を受けることがあります。食するのにはまったく問題ありませんので、安心してください。
たまごは古くなると、どうして気室が大きくなるの?
産卵直後の気室は、たまごに光を当てて測定してもほとんど確認できません。少し時間が経つと約2mmくらいの気室が現れます。 その後、気室は、時間の経過に従って、だんだん大きくなってきます。気室の大きさ(深さ)が8mmを超えると、鮮度がかなり低下していると考えられ、7月の室温で1ケ月くらい経過すると、その程度になるといわれています。 気室が大きくなる理由(原因)は、殻の表面にある小さな穴(気孔)から水分が蒸発するためです。
たまごは呼吸をしているって本当?
たまごのカラ(卵殻)は、厚さ0.26~0.38mmの多孔質で、「気孔」(きこう)と呼ばれる小さな穴がたくさんあります。その気孔の数は7,000~17,000個もあります。 この気孔で胚(卵黄の表面にある直径3~4mm程度の白い小さな丸い部分)の呼吸に必要な酸素を取り入れ、内部で発生した炭酸ガスを排泄するガス交換を行っているのです。これを「たまごが呼吸している」と言っています。
赤玉の殻はどうして赤くなるの?
卵殻(カラ)とクチクラ(カラの表面を覆っている膜の層)には、蛍光色素である「プロトポルフィリン」が含まれています。褐色(赤玉)や淡紅色(ピンク玉)のたまごほど、この「プロトポルフィリン」の含有量が多いのです。 つまり、鶏の体内で卵殻が形成されるとき、および産卵時にクチクラが分泌されるときに、この蛍光色素により殻が赤くなります。 色素の沈着量、すなわち卵殻の色は鶏の品種(鶏種)によって決定されます。茶色い羽の鶏の多くは赤玉を産みますが、羽の色と卵殻の色は実は無関係で、茶色い羽でも白いたまごを産む鶏種もあれば、白い羽でも赤玉を産む鶏もいるのです。
たまごには、上下があるの?
スーパーなどで通常、売られているとき、たまごの尖った方(鋭端)を下にしてパックに入っています。 理由は3つあり、1つは丸い方(鈍端)よりも鋭端の方が強度が強いこと、もう1つは、鋭端を上にすると、古くなるとたまご内部で浮いてくる卵黄が卵殻膜(うす皮)に触れやすくなって、雑菌が入り込む可能性があること、さらには、鈍端には「気室」があり、こちらを下にすると気室内の空気が上にあがろうとするので不安定になることの3点です。 たまごは、鶏から産まれるときには通常は鋭端から産み落とされます。たまごの殻は鈍端よりも鋭端の方が強度があると言いましたが、そのためかもしれませんね。 鶏の体内の卵殻腺部では、85~90%の確率でたまごの鋭端が下(出口方向)を向いています。しかし、卵管内を移動するときに回転して逆子(逆向き)になるものもあるのです。 以上のことから、たまごは尖った方(鋭端)が下で、丸い方(鈍端)が上、というのが正しいのではないでしょうか。 パックに入って売られているたまごはGPセンターで、鋭端を下向きなるようにそろえられますが、これもこの強度を意識してのこともあるのです。
玉子焼きを作ったとき、冷めると緑変することがあるのはなぜ?
家庭で玉子焼きや目玉焼きを作ったとき、冷めるとたまごの一部が緑色に「緑変」していることがあります。これは、Q25の「ゆでたまごの黄身の黒変」と同様の原因で起こります。 卵白から発生する硫化水素と卵黄中の鉄分が反応して硫化鉄になり、それに卵黄のカロチノイド色素が沈着するために起こるのです。玉子焼きや目玉焼きのような焼き物でも、熱をかけすぎたり(弱火で長時間かけて焼くのは特に不可)、調理後すぐに冷やさなかったり(目玉焼きをフライパンに蓋をしたまま放置するなど)、また、古いたまごを使うと発生しやすくなります。 玉子焼きは、味や食感の面からいっても高温・短時間で焼き上げる方が、おいしく仕上がります。毎回黒くなってしまう(失敗してしまう)方は、たまごに少しお酢を入れて焼き上げると「緑変」が起こりにくくなります。
インフルエンザワクチンは、たまごを利用して作られているって本当?
毎年、冬季になると流行する病気に「インフルエンザ」があります。インフルエンザは、「かぜ」(普通感冒)とは異なり、急に38~40℃の高熱が出るのが特徴です。 インフルエンザウイルスが原因で発症する疾病で、合併症も多くあり、特に高齢者、慢性肺疾患の方などの「ハイリスク群」と呼ばれる人は注意が必要ですが、インフルエンザの予防法の1つに「インフルエンザワクチン」の接種があります。このインフルエンザワクチンの製造には、たまご(有精卵)が使われているのです。
白身の中に木くずのようなものが入っていることがあるのはなぜ?
この「木くず」のように見えるものを「肉斑」(にくはん)または「ミートスポット」と呼んでいます。 肉斑は卵殻の色と関連していて、卵殻色素と同一性質のもの(卵殻色素の粒子の集合体)が鶏の子宮内(卵管内)に存在し、これが何らかの理由により卵内に混入したものです。白玉(卵殻の白いたまご)は、白い色の肉斑が出現しますが、白色斑は見た目にもよく分からない(カラザなどと混同される)ため、あまり問題にならないと考えられます。 GPセンターでは、透光検卵により「血卵」(少量の血液の混入したもの)など不純物の入ったものは不良卵として取り除かれますが、肉斑自体が殻の色と同一の色素(同じ色)のものなので、透光検卵により取り除く(検出する)ことは難しいとされています。 ちなみに、赤玉、ピンク玉などの有色卵と白玉の違いですが、卵殻(カラ)とクチクラ(カラの表面を覆っている膜の層)には、蛍光色素である「プロトポルフィリン」が含まれています。褐色(赤玉)や淡紅色(ピンク玉)のたまごほど、この「プロトポルフィリン」の含有量が多いのです。 つまり、鶏の体内で卵殻が形成されるとき、および産卵時にクチクラが分泌されるときに、この蛍光色素により殻が赤くなります。 色素の沈着量、すなわち卵殻の色は鶏の品種(鶏種)によって決定されます。 肉斑(ミートスポット)は、気になって取り除かれる方が多いですが、卵殻(カラ)の色素の一部が混入したものであり、食してもまったく問題ありません。
加熱しても食べられなくなる期間ってどれくらいなの?
確かに、これはだれもが疑問に思うことですね。「たまごの賞味期限」=「生で食べられる期限」ですが、その後、いつまで加熱調理で食べることができるのかは、あまり明確にされていません。「加熱しても食べられなくなる期間」というのは、そのたまごがどのような保存状態(特に温度環境)にあったのかに大きく左右されます。ですから、一概に「何日間」、「何週間」とは言えないのです。 たまごの鮮度を数値で明確に表す方法として「ハウユニット」というものがあります。これは、濃厚卵白(卵黄の周りにある盛り上がった卵白)の高さを計測して導き出します。 加熱調理でも食べられるかどうかの判断としては、この濃厚卵白がほとんど確認できないものは加熱しても食べない方がいいでしょう。